~ 和やかな雰囲気のなかで仕事に取り組み、一人ひとりが向上できる腎臓内科を目指して ~
山梨大学腎臓内科は地域の腎臓病診療の中核的な存在です。
しかし、近年では多様化する業務や働き方改革の本格化などを背景に、閉塞感や漠然とした不安が組織全体に漂っていました。「明るい未来を思い描けない」組織では、新しい人材が集まらず、医療の質が低下して、山梨県の腎臓病診療は危機に陥る恐れがあります。
そこで私たちは、診療・教育・研究に並ぶ第4の柱として「戦略的組織づくり」を掲げ、山梨の腎臓病診療を支える持続可能な組織の構築を目指して、組織改革に着手しました。
これまでの私たちは、共通の目的意識を持たず、協働意欲やコミュニケーションが不足していました。言語化し難い閉塞感や漠然とした不安を抱き、同じ部屋に集まりながら個々のプレーに徹する「ただの医師の集まり」になりかけていたのです。
(図:第1回未来づくりアンケート結果)
こうした状況を打破するため、Appleをはじめ世界で躍進する革新的な企業が人や社会を動かす秘訣としてSimon Sinek氏が提唱したゴールデンサークル理論を参考に、まずは組織の「Why」に立ち返ることを試み、以下のVision、Mission、Value(VMV)とタグラインを策定しました。
(図:ゴールデンサークル理論)
(図:山梨大学腎臓内科のVMVとタグライン)
生活習慣病領域をはじめ様々な領域で追及されはじめた「ウェルビーイング」。真の意味で患者のウェルビーイングを目指すには、そこに向き合う私たち自身もウェルビーイングであることが必要不可欠です。私たちは腎臓内科学を通じて、腎臓病の発症・進展を抑制することはもちろん、私たちを含むあらゆる人にとってウェルビーイングのきっかけとなり、未来に寄り添う、そんな存在でありたいと考えました。
では、具体的に何をすればいいのか?そんな私たちのHow、Whatをみつけるために立ち上げたのが「山梨大学未来創生プロジェクト」です。このプロジェクトでは、月に1回開催される「未来づくりミーティング」を中心に、組織内に漂う閉塞感や不安を言語化し、日々の課題を俯瞰的視点でとらえて本質的な組織の課題として再定義し、私たち自ら解決策を考え、実行に移す取り組みを行っています。
こうした取り組みを通じて、組織内には新しい風土・文化が芽生え始めました。受け身で業務をこなす医師の集団から、主体的に業務効率化を提案し、新しい研究や活動を生み出す能動的な“チーム”へと生まれ変わりつつあります。個々の能動性の高まりとともに、組織としての持続可能性が向上する兆しが見られ始めたのです。
●未来づくりミーティング
未来創生プロジェクトの中核となる活動。各タスクリーダーが進捗報告や計画提案を行い、新たな課題・タスクを話し合う、月1回の定例会議。
●自己紹介プレゼン
隣で働いている同僚のこと、本当に知っていますか?同僚の人柄や価値観を共有し、コミュニケーションを活性化する取り組み。
●腎臓内科の壁リノベーション(Coming Soon)
学会や講演情報だけでなく、腎臓内科の魅力を伝える新しい空間をつくる取り組み。
私たちの組織づくりは明確な正解があるものではありません。しかし、独自のプロセスで戦略・戦術を練り、試行錯誤を重ねることが、やがて私たち山梨大学腎臓内科の“価値”になると信じています。自分たちの手で未来を創る私たちの挑戦、あなたもワクワクしませんか?