
良質な診療・研究・教育を支え、地域や社会の持続可能な医療・知の蓄積・次世代の育成を実現する。その使命を果たし続けるために、私たちが必要だと考えたこと——それが、“組織づくり”です。GoogleやAmazonをはじめとする世界の主要企業は、優れた成果を生み出す土台として、組織文化・風土の醸成など、組織づくりに力を注いできました。それは業種や規模を問わず、持続的な成果を上げる組織に共通する姿勢です。山梨大学腎臓内科では、「山梨大学腎臓内科未来創生プロジェクト」と名付け、その使命の実現に向けた独自の組織づくりに取り組んでいます。
未来創生プロジェクトがまず着手したのは、私たちのVision・Mission・Valueの制定でした。Simon Sinek氏が提唱するゴールデンサークル理論における「Start With Why」の考え方を参考に、まず私たちの「Why(なぜ)」から問い直すことから始めました。あらゆる活動をVMVに紐づけることで、それぞれの立場・領域で活躍するメンバーが同じベクトルを持ち、組織全体として大きなインパクトを生み出すことを目指しています。
(図:山梨大学腎臓内科のVMV)

次の問いは「では、具体的に何をすればいいのか」でした。文献を探しても、私たちの組織に適用できる確立された正解はありません。仮にあったとしても、そこに私たちの想いや感情が伴わなければ、十分に機能しないはずです。そこで私たちが自ら考案したのが、月1回開催する「未来づくりミーティング」です。日々の課題を個人の問題として埋もれさせるのではなく、俯瞰的な視点で組織の課題として再定義し、本質的な解決策をチーム全体で話し合い、実行に移しています。こうした取り組みの積み重ねが、一人ひとりの成長と活躍の土台となる環境を育んでいます。

●未来づくりミーティング
未来創生プロジェクトの中核となる活動。各タスクリーダーが進捗報告や計画提案を行い、新たな課題・タスクを話し合う、月1回の定例会議。
●1 on 1 未来づくりミーティング
医局員個人の成長やキャリア形成のための支援。中々落ち着いて考えられない自身の未来を考え、言葉にする機会を設ける取り組み。
●自己紹介プレゼン
隣で働いている同僚のこと、本当に知っていますか?同僚の人柄や価値観を共有し、コミュニケーションを活性化する取り組み。
●腎臓内科の壁リノベーション
学会や講演情報だけでなく、腎臓内科の魅力を伝える新しい空間をつくる取り組み。
●腎臓内科アワード
あたりまえのように思いがちな医局員の日々の頑張りを言葉や形にして称える取り組み。
●腎臓内科カルチャーコード
価値観・行動・意思決定の基準を共有し、組織風土・文化を醸成させるための羅針盤。
これらの活動が組織にもたらす影響と組織の状態を可視化するため、「未来づくりアンケート」を定期的に実施し、評価しています。プロジェクト始動から3か月時点で早速成果が現れ、大幅なスコアの改善が見られました。一方で、メンバーの交代による一時的な落ち込みなど、課題も見えてきました。このような課題も、未来づくりミーティングで取り上げ、解決策を模索し、私たちの成長の糧としています。
(図:未来創生プロジェクト開始から3か月間での変化)

こうした組織づくりが、医師として、一人の人間としての成長の土壌をつくり、やがて地域医療を支える組織の持続可能性、そして私たちを含むあらゆる人の健やかな未来へとつながっていく——私たちはそう信じ、これからも挑戦を続けていきます。