山梨県におけるCKD対策

山梨大学では、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するための取り組みを推進しています。その一環として私たちは山梨県におけるCKD対策をはじめとしてSDGs達成に向けた取り組みを推進します。CKD対策は脳卒中・心血管病・認知症、寝たきりを予防し、健康寿命延伸・腎不全患者さんのQOL(生活の質)向上につながります。個人の健康、さらには社会全体のために。あなたの協力が必要です。

山梨県CKD対策 “患者×医療×行政の力を合わせて”

CKD(慢性腎臓病)は全国で約1330万人(成人の約8人に1人)と推計されており、「新たな国民病」といわれています。これは1人の腎臓専門医が2600人のCKD患者を診なければならない計算になります。2010年度の調査では、山梨県は人口10万人あたりの糖尿病性腎症による新規透析患者数が全国第1位という結果でした。この状況を生んだ背景には、「(患者)透析が必要とは思っていなかった」、「(非専門かかりつけ医)透析導入間近になって専門機関に紹介した」など“患者さん自身やかかりつけ医の関心の低さ”がありました。

こうした危機的状況に対して、2010年に「山梨県腎臓病対策協議会(YCKDI)」を発足し、2015年には「山梨県慢性腎臓病(CKD)予防推進対策協議会」が設立され、行政とともに地域に根差したCKD対策を展開することが決定しました。さらに、2018年には「山梨県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が策定されました。

山梨県CKD対策の課題と展望

山梨県CKD予防推進対策協議会としての当初の目標は5年間で新規透析導入患者数の10%減少を目指すことでした。しかしながら2019年に増加に転じ、目標達成には至っていません。単純にこの数値だけでこれまでのCKD対策を評価することはできませんが、今後の課題と展望も見えてきました。CKD病診連携システムの普及やブラッシュアップはもちろんのこと、山梨県民へのCKDに関する啓発活動にさらに力を入れ、関心を持っていただくことが必要です。その他に、腎臓病療養指導士の育成にも力を入れる必要があります。厚生労働省でも新規透析導入患者数を2028年までに年間3万5000人以下に減少させるという目標を掲げており、CKDに関する基本的知識を有する腎臓病療養指導士の育成を推奨しています。腎臓専門医は2021年5月現在で、県全体で42名であり、山梨県の人口約80万人を支えるためには、専門医以外の人材もその役割は重要です。腎臓病療養指導士は全国でもその数は少なく、山梨県も例外ではありません。山梨県で働く看護師、保健師、管理栄養士、保健師の皆様、ぜひ腎臓病療養指導士を目指し、お力添えを頂ければと思います。

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