医師の偏在によって山梨県をはじめとする地域では、医師不足が嘆かれています。こうした中で、「教育」を通じて、未来の山梨県の医療を支える人材を育てることも私たちの使命です。「教育」は同時に、山梨県の腎臓医療の質を保つ「持続可能な医療」の提供に欠かせないピースなのです。

ロールモデルと腎臓内科の魅力を語る

ここでは、腎臓内科を志す学生・研修医のみなさまに、腎臓内科医として各方面で活躍する医師をロールモデルとして示しました。また、彼らに腎臓内科の魅力について語っていただきました。自身の活躍するイメージを膨らませながら読んでみてください。

Case 1 山梨大学医学部附属病院腎臓内科で活躍する臨床医

山梨大学医学部附属病院腎臓内科臨床助教 小佐野慧一
小佐野 慧一

私が思う腎臓内科の魅力とは、腎臓病を診ることすなわちその患者さんの全身を診ることにあると思います。腎臓は血液浄化・内分泌臓器として全身の諸臓器と密接に関連しており、病態に応じた柔軟な治療が求められます。高血圧や糖尿病を含む生活習慣病の管理から、腎病理から紐解く糸球体腎炎の疾患活動性に準じた免疫抑制治療の導入と感染症を含む合併症管理、また急速進行性糸球体腎炎に代表される重篤な腎疾患に対する血液浄化療法・全身管理など多岐に渡ります。末期腎不全に至っても、他の臓器と異なり、腎代替治療が誰でも受けられる体制が整っており、患者さんが可能な限り元気に長生きするお手伝いをすることができます。血液透析のバスキュラーアクセスの作製に限らず、大学ならではの腎移植患者さんの内科的管理、腹膜透析のカテーテル挿入手術、導入・外来診療も精力的に行っております。志を共にする多くの医師の方に入局していただけることを心待ちにしております。

Case 2 研究者として活躍する医師 「医師の上にも5年」

山梨大学医学部附属病院 腎臓内科 講師・血液浄化療法部副部長 内村幸平
内村 幸平

私は2004年に医学部を卒業した“スーパーローテート”第1期生です。2年間の研修の後、腎臓内科へ入局した理由は、①内科的な管理(高血圧、糖尿病、腎炎)と外科的な手技(内シャント造設術、VAIVT、腹膜透析カテーテル挿入術)が出来る、②有効な治療法が少ない慢性腎臓病(CKD)に関する研究へ寄せられる期待が大きい=チャンスがある!?、ということでした。医師となった5年間は臨床に集中し、次のステップとして大学院へ入学して基礎研究を開始しました。指導教官から学位取得用の小さいプロジェクトとBig Journalを狙う大きなプロジェクトを与えられ、日々ネズミと奮闘する5年間でした。幸いなことに大きなプロジェクトも論文化することが出来て、沢山の賞や研究助成金を獲得することが出来ました。私の悪い点なのですが、5年くらい何かに没頭すると飽きてきて違うことに挑戦したくなります。そこで、このまま日本だけに住み続けるのも人生として面白くないだろうと次の5年は海外で生活してみたいと思うようになりました。アメリカやヨーロッパでイケてる腎臓の研究者数名へ突然メールを送り、最初にweb面接をしてくれたのがボスのBenでした。後日聞いたのですが、Benは『コーヘイの英語かなりいまいちやけど、こっち来たら何とかなるやろ。』と言っていたそうです。結局5年間アメリカを満喫してきました。そして今の5か年計画は指導教官として若い先生が当教室で研究成果を上げられるように環境整備や予備実験を行っています。是非、当科へ入局して研究や海外留学を経験することで医師人生をもっと面白いものにしてもらいたいと思っています。お待ちしております。

Case 2 研究者として活躍する医師 「医師の上にも5年」

Case 2 研究者として活躍する医師 「医師の上にも5年」

<受賞歴>

第19回日本病態プロテアーゼ学術集会 Young Investigator’s Award of JSPP(2014)

第18回日本心血管内分泌代謝学会 若手研究奨励賞(CVEM Young Investigator Award 2014)

第65回日本腎臓学会学術総会 大島賞(2022)

海外日本人研究者ネットワーク(UJA)論文賞2022

Case 3 関連病院で活躍する医師

山梨県立中央病院 腎臓内科 吉田駿
吉田駿

私は市中病院での初期臨床研修の間で腎臓内科を志して母校の腎臓内科(旧第3内科)に入局し,関連病院を中心に腎臓内科医としての経験を積んでいます.市中病院での腎臓内科の役割は腎不全管理だけではなく,電解質異常や血液浄化療法など他科より依頼を受けて連携して診療を行う一方で,自らで他科疾患を含めた治療や全身管理を行う機会もあります.個人的には,腎臓病という一つの分野に捉われることなく日常診療の様々な分野で関わり活躍できるところは腎臓内科医の醍醐味の一つだと思います.我々の医局の研修病院は高度な医療を提供する認定施設が中心であり,経験豊富な指導医の元で多くの症例が集まり手技を経験することができ,忙しすぎずにじっくりと患者さんと向き合い診療することができる環境であることが魅力です.他院からの紹介症例も多いことから複雑な症例と出会う機会も多く,腎臓病分野の高い専門的技能や柔軟な対応力,内科医としての総合力を培うことができます.気概溢れる同志と一緒に働くことができることを楽しみにしています.

Case 4 子育てと仕事を両立する女性医師

山梨大学医学部附属病院腎臓内科 臨床助教 大越貴絵
大越 貴絵

医師7年目、腎臓内科5年目の大越貴絵です。山梨大学出身で、山梨大学医学部附属病院での初期臨床研修を経て腎臓内科になりました。医師6年目に第一子を出産し、約1年間の産休・育休をとりました。その間腎臓専門医を取得し、子供が10ヶ月の時に復職しています。現在子供は保育園に通い、私は平日8時30分~17時15分で勤務しています。仕事と育児の両立は体力がいりますが、職場のサポートも手厚く、充実した毎日を過ごしています。

気力・体力の後期研修医時代も、育児と両立中の現在も、腎臓内科は働きやすくお勧めです。血圧や電解質、体液調整など内科管理に強いため幅広い疾患に対応可能ですし、透析管理は専門性が高く、重宝されます。また腎臓と透析の専門医取得が可能で、私は来年に透析専門医の受験予定です。私生活も大事にしたい、内科管理に強くなりたい、専門性の高い技術が欲しいという先生にはぴったりです!女性も多く色々相談に乗れると思います、是非研修にきてください。